ナゾの女

最近、アホアホの間で「レースクイーン」やら「安めぐみ似の22歳」やら
盛んにオンナネタが取り上げられている。秋も深まっているのだろうか…


秋は人恋しくさせるからな…なんてこと考えていたら、ワシの周辺でも不可解な女が一人。
(注:ここから先は、本当にどうでもいい話なので忙しい人は立ち去ることをお奨めする)


で、最初の遭遇は二週間ほど前、いきつけのラーメン屋で一人晩飯を食べていると
その女はやってきた。夜の8時半くらいだったかな。店内にはワシの他にもう一人、
中年のおっさん、よほど腹が減っているのか顔の半分を丼にうずめながら
カツ重と醤油ラーメンをワサワサとかき込んでいた(女には縁がなさそうなタイプだった)。


ワシはいつもの通り鳥わさ重をつつきながらラガーをやっていた。
仕事の段取り、家のこと、親父のこと、考えなければならないことは山ほどある。
女はL字カウンターの長辺のほぼ真ん中に着座。ワシは短辺の角に座っていた。
たまたまなのだが、その角度からは女の服装やらアクセサリーやらヘアスタイルやら
上半身のシルエットやらが、測ったようによく分かる。しかし…なぜさっきからワシは
その女のことが気になるのだろうか?一瞬、理由を探したが答えはひとつしかない…。


その女があまりにもその場になじんでいなかったからだ。
その場というよりもこの街にといったほうが正しいかもしれない。


まず体型…太っている。太ってはいるが妙に愛嬌のあるコロンとした感じ。
ヘアスタイル…金髪。もちろん染めているのだろうがニット帽で全体像は不明。
服装…アバクロとかのアメカジ。極彩色を上下バランスよく取り入れている。着こなし上級者?
アクセサリー…リング、ブレス、チョーカーなど、ジャラジャラ、クラブっぽい?
ネイル…ピーズてんこ盛りでベラみたい(ふる!)。


他には特大のサングラス。そして最大の特異性は、犬だ。


女が連れてきたらしい犬が外につながれてドアの隙間からキャンキャン泣いている。
犬がキライなので品種は確かではないが、たぶんミニチュアダックスだったろう。
時折、頭を店内に突っ込んでくるのを見ると毛並みはシャンパンゴールドでツヤツヤ。
好きな人が見たらすぐに駆けつけてナデナデするのだろうが、ワシにとってはバカ犬でしかない。


バカ犬がキャンキャンいうので、女は申し訳なさそうにワシの方に会釈する。
ワシも「構わないですよ」というテレパシーを一応返しておく。


女はラガーをやりつつカツ重と醤油ラーメン、ギョーザを手馴れた手つきで食す。常連だな。
もう一度、女をチラ見する。


どこかのセレクトショップか美容院のオーナーといえばそれもあり。
アクセサリーデザイナーとかクラブのDJといっても信じるかも。
歳は…40前後?とにかく佇まいが異様でこれが渋谷や六本木なら
訳分からんけど、メチャメチャ金持っている得体の知れないオバサンなんか
わんさかいるので気にもしないが、ここは岡山だからねえ。


で、ここまでならなんてことない話だったのだが今日、昼飯のサンドウィッチを買うため
隣の公園を横切っていると…その女がいた。例の犬とともに。ベンチに座って。
隣にはご近所でも有名ないつも自転車の後に犬を乗せて徘徊しているホームレスのおっさん。
二人とも秋の木漏れ日の中、クリアアサヒのロングをいっとったがな!


人のことを詮索するのは下品なことと祖父から厳しく躾けられてきたが…
あの女は?ナゾだよねえ。ドアーズじゃないけど「奇妙な人々」だよ。