夢ばかり見ている。

なぜか今週は大して仕事もはかどっていないのに
疲労満載でやっと金曜日まで辿り着いた感あり。

原因は諸々あるが、ひとつは自認している。
仕事上、いろいろな情報を吸収せざるを得ない毎日だが
情報を吸収すればするほど、徒労の念が沸々とわき上がって来る。

「なぜワシはこの時代に生まれ、この時代に生きているのだろうか」と。

たぶんこんなこと書くと「akaさん、頭おかしんじゃねえの」と
思うかもしれないが、ハイ頭がおかしいんです。

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ワシは小さい頃から夢想癖があり、特に季節の変り目が激しい。
「心ここにあらず」という言葉があるがまさにそれ。

亡き母から聞かされた幼い頃のエピソードがある。
幼稚園の小さい組だから5〜6歳か。
秋の学芸会で演奏会をすることになった。
園児のほとんどはカスタネット(凡人組ですね)で
できる子はトライアングルとか木琴をソロで担当したのかな。

もちろんワシはダントツのカスタネット組。
まあ、周りに合わせて「カチカチ」やっていれば
万事OKな、その他大勢の立ち位置。

で、いよいよ演奏が始まった。
曲はたぶん「チイチイパッパ」みたいなやつ。

しばらくすると会場がザワザワとザワツキ始めた。
ザワツキの原因は、カスタネット組の中のひとりの園児が
まったくタイミング、ズレまくって演奏をぶち壊していたのだ。

母が言うには、その園児がワシだった…そう。

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この話にはさらなるオチがあって、
散々周りからズレまくった上に最後演奏が終わった後も
ワシはひとりカスタネットを叩いていたらしい。
カチカチと、何を疑うこともなく、楽しそうに…。

そのときのことは、なんとはなくだが記憶がある。
もちろん観客も友だちも曲もリズムもタイミングも先生の姿も
何も思い出せはしないが、自分が繭のようなものに
包まれた空間でカスタネットを叩いていた浮遊の記憶。

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演奏がブレまくった理由はわかっている。
ワシ一人だけ、そことは違う世界で演奏していたんですね。
たぶん違う曲を、自分の好きなように。

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おそらく会場は失笑の嵐だったろうが、ワシはそのことで
母に叱られたことや、ましてや嫌みや皮肉を言われたことは一度もなかった。
高校生になって笑い話で聞かされただけだ。

そのときの母の優しさには今になって心から感謝している。
阿呆な我が子を現実に引き戻さず、夢の中で遊ばせてくれたのだから。

そんなこんなでこの歳になっても夢想は続く。
この病気は治らんじゃろうな。